自民党が崩壊したのではなく、自民党がもともと崩壊していたというのが正確な表現でしょう。民主党政権から自民党政権に戻り、公明党との連立は続けながらも単独与党として国民からの信任を受けていたのは知られている通りです。ですが、国民が自民党に対してそれだけ圧倒的な議席数を与えていても、自民党は何も事を成さなかったわけです。不幸な事件により亡くなられていますが、安倍晋三氏による長期政権にもかかわらず、自民党政権下での日本は"失われた30年"を実演して見せ、国民の間には深い失望が漂ったのが歴史的事実です。G7の中で唯一日本だけが賃金が上がらず、そして2020年頃からの新型コロナ感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻による世界的な情勢不安定の中で、近年まれに見るほどの物価高の時代を迎えています。いわゆるスタグフレーションの状態であるにもか変わらず、この国の人間は誰もそれを認めようとせず、抜本的な対策をも取ろうとしない。これで自民党が議席を保っていられるのが不思議なくらいの状態ですよ。 そもそも自民党というのは、一つの政策を掲げた一本主義の政党ではなく、色々な考えの者が合流して成立している複合政党です。なので、自民党はそれだけ多くの票田を確保し続けられていたわけですが、その自民党が信頼に足らないと国民が判断した場合、それだけ多くの考えの者が他の政党に投票先を変えていくわけですから、参院選の結果として多党化するのは極めて自然な現象だと思いますね。もちろんその背景には、日本において自民党の他に並び立つ政党が存在しないという状況もあります。ですが、それ以上に自民党が複合政党として政権を握っていた期間があまりにも長かった弊害として、今があるわけですから。国民の信頼を裏切り、失われた30年を作りだした自民党には厳しい現実が突き付けられるのは当然として、今後何らかの責が問われる事態に発展したとしても、全くおかしくない状態にあると思いますね。 自民党に対してそれを突き詰めていく。そして、失われた30年にある日本が今必要な政策を積極的に発案して議論していける。その過程で同じ考えの者と合流して発言力の拡大を図れる。そういう"動ける政党"が今後は国民の支持を集めていくでしょう。最近では参政党の躍進がニュースで受け止められることが多いですが、それはその様な過渡期の始まりに過ぎません。それに対して排外主義などという批判を浴びせることが、日本人が立ち直るという目的に直結するものなのか、よく考えないといけませんね。多様性という宗教に囚われ、参政党を神敵とみなすだけの底の浅い議論にならないようにしなければなりません。国民が参政党を支持する下地を政治家が無視するのであれば、それは失われた30年が"失われた40年"に拡大することを意味します。
- 元記事
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衆参両院でいよいよ止まらなくなった"多党化"現象、「自民一強」崩壊の先に待つ2つの政局シナリオ
https://toyokeizai.net/articles/-/893489
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