以前は、開発ベンダーの言い分が認められることが多かった司法において、最近では逆に発注側の言い分が認められやすく、開発ベンダーにとって厳しい判決になることが増えてきたと、別の記事で以前に読んだことがある。開発ベンダーはプロフェッショナルとして、顧客の立場に立った提案をもっと積極的にするべきだという指摘が司法の現場でされているらしいが、自分は記事で読んだだけなので詳しいことは知らない。 だが、システム開発の経験がある者から言わせてもらうのならば、システム開発者は魔法使いではない。その企業が独自に築き上げた業務フローについて、他社の人間が知っているはずがない。本来それらを把握しているべき発注者側の人間が把握していない時点で、それら全ての業務フローについて完璧に把握できる人間など、この世に存在しないのだ。であるのならば、そんなことを他社のシステム開発者に丸投げにしている時点で、本来は相当におかしいと判断されるべきものだ。知るはずのない事を知れと、司法がそう判断するのであれば、システム開発者は魔法使いにならなければならない。知るはずもない事を知れなければ有罪判決をもらってしまうのである。これほど理不尽な事はないだろう。 では、問題となっているその責任が誰にあるのか? 答えは明白だ。発注者側の経営責任者にある。自社の業務システムを構築するにあたって、それらをドキュメント化せずに属人的に業務を行ってきた。さらにIT化するあたっても、何をどうしたいのかを明白にせず、自社でそれらの責任を負わずに他社に丸投げした。その様な経営判断の積み重ねがこの様な事態を引き起こす。より具体的に指摘するのであれば、自社で独自の業務システムを持つのであれば、それらをIT化するにあたっても、自社で専属のIT部門を持つべきだ。それらに投資するべきであり、投資しない経営判断をしたのであれば、その責任が誰にあるのかが明白になる。他社のシステム開発者をなんでもできる魔法使いのように扱うのは勝手だが、それをできないからと喚きちらされるのは甚だ迷惑だ。司法もそれらを弁えて、冷徹に突き放すべきである。
- 元記事
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    NHKに提訴された日本IBMの反論が生々しい…仕様書に記載ない仕様が満載
https://biz-journal.jp/company/post_386528.html 
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