内閣総理大臣の指示ならば、箱根駅伝で警官が動員されるのを止められたのではないかと、今でも自分はそう思っている。警察庁は国家公安委員会の所管で、その国家公安委員会は内閣府の外局。実態としては、地方でも実務を担う各都道府県警と警察庁には組織的な上下関係はないはずだが、基本的に地方組織は国の機関から伝達を受けて行動している。
元旦震災と言われている能登半島地震であるが、未だにマスコミの間では大震災という呼称は使われず、東日本大震災や阪神淡路大震災との乖離を感じる。扱われ方は、熊本地震と同程度なのだと。それらの原因はひとえに、国のトップがそういう認識だからだと、自分はそう思っている。
違和感は元旦の地震後から既にあった。東日本大震災の時よりも国の危機感が感じられない。対応の規模が小さくて、自分も、一時は大した地震ではないと思い掛けた。だが、日没後にマスメディアが強行軍でヘリを飛ばして、現地から送られてきた映像は全く違っていた。311の時を知っている人は、気仙沼や大船渡といった名前で思い浮かぶかもしれないあの映像が、脳裏をよぎったはずだ。今この瞬間にも、あの燃えさかる炎の中で命が消えていっている。今すぐにでも人員を大量動員して現地に向かわなければ、助かる命も助からない。あれほどの規模の災害に、地方行政の人員で対処するのは不可能だ。それなのに、流れるニュースでは、明日の箱根駅伝は開催と報じられている。国道を使用してのあれだけの大きなイベントには、当然ながら大量の警官が動員される。それだけの警官の動員予定があるのであれば、即座に災害派遣に振り向けられるのではないか。恐らく、国が動く気が無いのだろうと、自分はそう感じた。
ネット上では、その当時から箱根駅伝の開催を支持する声が溢れていた。国のトップが危機感を持たないし、その発露も無い。国民には当然それは伝わらない。しかも、日本人は同族に対して共感意識が薄い。その薄情さは、この能登半島地震でも遺憾なく発揮されているように思う。既に能登半島地震は、自民党が生き残るための政局に組み込まれている。能登半島で、同じ日本人が何人死のうと、それは自民党とは関係の無いことだし、自民党が生き残ることこそが日本における至上命題だと言わんばかりだ。
岸田首相は、同じ日本人を見ていない。大量の護衛を引き連れて能登半島へ視察に訪れた写真を見て、そう感じた人は多いはずだ。写る首相の後ろには、厳しい表情で被災地のご老人を睨め付ける偉丈夫の姿があった。
- 元記事
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総理視察よりカップ麺のお湯がほしい…自分のメンツ最優先・岸田首相「観光旅行」に官邸からも疑問と怒り「中身が全く伴わない」の声
https://mag.minkabu.jp/politics-economy/23070/
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