【Mastodon再掲】原発事故処理水の海洋放出に対して…

　原発事故処理水の海洋放出に対して、科学的根拠とかいう言葉で、賛成しない人は非科学的だと攻撃する姿勢は、新型コロナワクチンの時の接種強要と似ているなと思う。

・新型コロナワクチンの接種
　安全性の根拠に欠けている。接種に関して臨床試験データが欠如していることは明らかなのに、非接種時の感染リスクや発症時の重篤化リスクを持ち出して、接種拒否者を「自分勝手」だと攻撃した。
・原発事故処理水の海洋放出
　安全性の根拠に欠けている。人工的に生成した放射性水素を環境放出することに変わりはなく、体内に取り込まれた際にも、完全に体外に排出されるなんてことはありえないし、自然界での濃度が上がればその分、体内に取り込まれるリスクは上昇する。これらのリスクをわざと矮小化して、そのリスクを無視できないという人を「非科学的」だと攻撃する。
　福一で溜め込んでいる事故処理水は、普通の原発で排出している一次冷却水とは違う。燃料棒は通常、被膜に覆われているため、冷却水と放射性物質は直接接触しない。ALPS処理水は、メルトスルーを起こして環境放出した熔融燃料棒に直接触れており、大量の放射性元素が溶け込んでいた。ALPSは、これらの溶け込んだ放射性元素を除去するためのフィルター装置だが、当然ながら完璧ではない。話題になっているトリチウムは無論のこと、セシウムやヨウ素などのいくつかの放射性同位体元素も完全には除去できておらず、これらは通常の一次冷却水には含まれない物質になる。

　中国が「核汚染水」と呼ぶことに対して、日本の御用メディアが「処理水をわざと言い換えて呼んでいる」と突っ掛かっているが、個人的には中国の「核汚染水」という呼び方の方が正しいと思う。
　仮に中国で同じような原発事故が起きたとして、中国お手製のフィルター装置を通して海洋放出すると言ったら、自分ならばそのフィルター装置の性能を信じない。
　チェルノブイリ原発の地下にあるという象の足についても、自分の反応は同じだ。もっとも、象の足はもはや人間が関与できる状態になく、地下浸透で環境放出され続けている状態にあるが…。
　いくら処理しようと、無関係の国にとっては、原発事故において発生した汚染水であることに変わりはない。日本の利己的な論拠に基づいて、安全基準を盾に薄めれば問題なしという考えで環境放出しようとしても、汚染水の環境放出であることに変わりはないのだ。

　そもそもの話、誰が原発事故を起こした国の話を信じるんだ。技術力があるのならば、原発事故を防げただろ…で、話は終わってしまう。日本は昔から、事故は起こらない絶対安全だと偉そうに言いながら、バケツ臨界を起こしたり福一事故を起こしたりしている。その結果が今なのに、科学的根拠とか、技術力に絶対の自信とか、今更どの口がほざくんだ。

　学者連中は「現場の運用が悪い」「現場の問題だ」と口を揃えて言うが、問題なのは「その現場を作っている組織運営能力」だからね。日本はこの組織運営能力が欠如している。原子力規制委が原発運用に対して散々苦言を呈しても、全く改善しないし、あれだけのシビアアクシデントを起こしてもなお、原発の運用体制を抜本的に見直そうとしていない。
　その様な原子力産業において、ALPS装置のフィルター効果について、本当に信用できるものなのかどうかも疑わしく感じてしまうのは、果たして非科学的なのだろうか？